ムツタチゴケ Atrichum undulatum (Hedw.) P.Beauv. var. gracilisetum Besch.
スギゴケ目、スギゴケ科、タチゴケ属

 ナミガタタチゴケ(Atrichum undulatum)の変種として認められている。ムツはナミガタに比し、より北方に多いようだ。ムツは、より小型だが、葉はより幅広い、雌雄性(造卵器と造精器の付く位置)が異なる、また、1茎から胞子体が2-3本でる。

2004/08/24 北海道釧路町村田公園、木の根の横、腐植土上にマット状にひろがる群落を作っていた。
 各茎からは1-2本の若い胞子体が出ていた。「さく」はまだ若く、すきとおった淡緑色。「帽」も付着していた。
 胞子体は茎の先端に付く。胞子体の基部、「足部」は「鞘」につつまれている。「鞘」には、古い造卵器がいくつか付いている。雌花の部分が受精後、成長したものと推察される。
 雌苞葉の判別は難しい。茎上部の数枚の葉は、それより下方の葉に比べ、より細く長くなるので、おそらく雌苞葉と考えていいと思うが、下方の葉とは連続的に変化する。茎が立つ蘚類(acrocarpous)は、概ね同様であるが、茎の成長と生殖器官成熟状態の関係をおさえる必要があるだろう。
 多くの造精器と数枚の雄苞葉からなる雄花は、胞子体の茎への付着部のすぐ横に、ただし、胞子体とは、1枚の葉(雌苞葉)に隔てられてある。「列立同株」(paroicous)と考えていいと思う。